研究紹介 八木原研究室 学会研究会受賞

1.庄司幸平さん
第68回コロイドおよび界面化学討論会(神戸)ポスター賞

大学院理学研究科物理学専攻修士課程2年生の庄司幸平さん(指導教員=理学部物理学科・八木原晋教授)が、9月6日から8日まで開催された第68回コロイドおよび界面化学討論会(神戸)でポスター賞を受賞しました。
この賞はポスター発表を行った若手研究者の内、15%程度の特に優れた発表者に贈られるもので、今回、庄司さんの「W/Oエマルションの2相分離過程における分子・イオンダイナミクスの誘電的研究」と題した発表が選ばれました。
庄司さんはこれまでに、広帯域誘電分光法によってW/Oエマルションの2相分離過程についての分子・イオン挙動を調べており、食品や生体など様々な分散系への応用を目指しています。
庄司さんは、「本研究はバターのような油中に水が分散した構造体であるW/Oエマルション中での分離や合一の過程を、水分子やイオンの動きの広帯域観測と解析で特徴づけ、その構造形成機構を明らかにすることを目指したものです。今回参加したコロイドおよび界面化学討論会は物理化学分野を専門とする研究者の討論会で、化学系研究者が多く、物理計測や分子ダイナミクスといった物理学的視点が、審査員の方々に評価頂けたのだと感じています。様々な分野の方々に私たちの研究を評価して頂けたことと、今回の受賞を非常に嬉しく思っています。」と話しています。

2.川口翼さん
第56回NMR討論会(東京)若手ポスター賞受賞

大学院総合理工学研究科総合理工学専攻物理・数理科学コース博士課程4年生の川口翼さん(指導教員=理学部物理学科・八木原晋教授)が、11月14日から16日にかけて開催された第56回NMR討論会(東京都八王子市、主催=日本核磁気共鳴学会)で若手ポスター賞を受賞しました。
この賞は日本核磁気共鳴学会の評議員により、研究内容の学術的価値やオリジナリティ・将来性の高さ、要旨原稿の明確さとポスターの完成度、プレゼンテーションの説明および質疑応答の的確さの3項目について審査され、本年は30名以上の若手ポスター賞応募者に対し9名が受賞しました。
今回は「拡散NMRと誘電分光法を用いたマウス臓器の水分子ダイナミクス解析」と題した川口さんの発表が選ばれました。これまで行ってきた誘電分光法による幅広い試料の物性評価で得られた知見を応用し、今回の研究ではマウスの臓器測定を行いました。さらに、その結果に核磁気共鳴分光法による結果も含めることで水分子ダイナミクスについて異なる側面から論じました。
川口さんは、「本研究の主題は生体内の水分子ダイナミクスをいくつかの手法を用いて直接観測することであり、生体の健常性・疾病が動的水構造に及ぼす影響について系統的にに調べました。当研究グループでは誘電分光法を主な測定手法として採用しており、NMR討論会への参加はあまり行っていなかったのですが、今回、磁気共鳴分野の方々にも研究に興味をもっていただき、受賞できたことを大変嬉しく思います。」と話しています。

 

 

3.庄司幸平さん
第55回高分子と水・分離に関する研究会(東京)優秀賞

大学院理学研究科物理学専攻修士課程2年生の庄司幸平さん(指導教員=理学部物理学科・八木原晋教授)が、 11月30日に開催された第55回高分子と水・分離に関する研究会(東京)で優秀賞を受賞しました。
この賞は高分子学会の高分子と水・分離に関する研究会が同討論会での若手研究者による優秀発表を称えるために、候補者の10-15%の発表に贈られるものです。今回は「誘電分光法による分子・イオンダイナミクスからのW/Oエマルションの経時的水滴成長評価」と題した庄司さんの発表が選ばれました。
庄司さんは、W/Oエマルションが2相に分離していく過程における分子やイオンダイナミクスについて広帯域誘電分光法を用いて調べており、最近では特に、水分子の挙動に注目した研究を行っています。
庄司さんは「私の研究は誘電分光法という電気的な測定手法を用いて、水分子の挙動と油水界面に滞留するイオンの挙動双方の観測・解析を行った点でオリジナルなものです。測定系の吟味には時間を要しましたが、用いる電極を工夫することで水分子とイオン双方の挙動を評価可能となりました。本学会では、学生同士の盛んなディスカッションが印象的で、結果や観測された現象だけでなく普段は中々話すことのできない測定に関することまで議論することができました。そうした議論も含めて評価頂き、今回このような賞を受賞できたことを大変嬉しく思います。」と話しています。