OB・OGインタビュー

宮入秀紀(98年度修士課程修了)豊田小学校教諭

「空はなんで青く見えるのか?」…。小学生のときのたくさんの「なんで?」 の答えを見つけたくて、物理学科に進みました。大学、大学院では、水や生体 膜の分子運動が「なんで?」の中心になりました。人間の体内の70%を占め る大切な水、体内に60兆個ある細胞を形作っている生体膜。それらが体の中 でどのような役割を担っているのかを、分子運動を観測し明らかにしていくこ とが研究テーマでした。研究を通して、「なんで?」を科学的に追求する楽し さを感じました。徹夜で実験し確かな事実を求め、実験事実を多くの人と議論 し考えを交わし、自分自身の考えをより確かなものにする。そのようにして物 事の本質を突きとめる喜びと楽しさは、何とも言えない感覚でした。今は小学 校で教員をしています。子どもたちが持っている「なんで?」に対して、一緒 に悩み考えています。いつまでも「なんで?」を持ち続けることはすばらしい ことです。その「なんで?」を、科学的に考える楽しさを、子どもたちや物理 学科を目指す皆さんに是非感じてもらいたいです。

嶋是一(92年度学部卒業)(株)カシオ日立モバイルコミュニケーションズ

天文が好きで入った物理の世界。私が4年次の卒業研究で選んだのは「小柴研究 室」。そうです、ニュートリノ検出装置にて2002年度ノーベル物理学賞を受賞 された小柴昌俊先生です。現在も西嶋研究室としてその研究が受け継がれてい ます。先生に直接指導頂いた内容は、物理を通して物の考え方・疑問の持ち方・ 問題の取り組み方などまで及び私の大切な基礎となっています。また、データ 解析用のコンピュータとネットワーク環境の充実は幸運でした。当時からこれ らを自分の武器にできた私は、修士課程を経て現在はカシオ計算機株式会社で 携帯電話のネットワークを中心とした技術開発をしています。物理で得られた ものは「物の考え方」です。これはどのような仕事でも役立ちますので、これ から物理を学ぶ皆さんはそれを身につけ将来の「目標」に近づいて下さい。僭 越ながら、先生の言葉を借りれば「やればできる」という所でしょうか。応援 します。

野嵜龍介(83年度修士課程修了)北海道大学理学研究科助教授

私たちの宇宙は150億年ほど前のビッグバンから始まりました。基本粒子だけが 存在する単純な高温高密度の宇宙は膨張の過程で冷却され、力と物質の進化が 起きます。原子の誕生による重力の台頭、天体による複雑な原子の誕生が続き、 数十億年のうちに銀河や恒星系といった複雑な構造が現れました。物理学とい う学問の目的は、こうしてできた宇宙・自然界のしくみを根本原理から理解す ることです。私の研究分野は複雑液体物理学。生命現象の素過程に宇宙の進化 がどのように詰まっているかを研究しています。受験生の皆さん、物理学科で 学ぶ物理学は人類の思考努力の歴史であり、考えること自体でもあります。物 理学科で鍛えられる思考力は皆さんの財産となり、卒業後にはあらゆる分野で 強力な武器になるでしょう。

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