ACPA法
試料が入ったコンデンサーに電圧を加えると、回路には電流が流れる。ACPA法はパルスジェネレータで発振した交流電圧と流れる交流電流の振幅と位相差から複素誘電率を求める手法である。


測定原理
誘電体を挿入したコンデンサーのアドミッタンスは次のように表せる。
・・・(1)
いま、起電圧
V(t)=V0exp(jωt)・・・(2)
に対して、回路を流れる電流には位相差θが生じる。
I(t)=I0exp〔j(ωt+θ)〕・・・(3)
(2)、(3)を用い、アドミッタンス(オームの法則:Y=V/I)を表現すると、次のようになる。
・・・(4)
(1)、(4)の実部、虚部を比較することで、複素誘電率は
・・・(5)
となる。以上から、I0とθを測定することで、複素誘電率を得ることができる。


測定装置
図に位相差解析法の測定装置を示す。パルスジェネレータには、最大振幅16V、周波数1mHz〜1mHzまでのsin波が発振できるHP PULSE/FUNCTION GENERATOR (HP8116A)を使用した。このパルスジェネレータで発振したsin波を電極に印加した場合、回路を流れる電流の振幅は微少である。そこで電流値の観測を容易にするために、高速電流アンプを用いて電流値の増幅を行う。高速電流アンプには電流値を104〜1010倍に増幅できるCURRENT AMPLIFIER (KEITHLEY 428)を使用した。

電圧、電流の測定には、SIGNAL ANALYZER (IWATSU SM-2100A)を使用した。このSIGNAL ANALYZERは、解析データ長4096pointの場合に100Hz〜0.2mHzまでの周波数分解能があり、測定した実験結果のデジタル化を行うことができる。またSIGNAL ANALYZERを用いて、精度を上げるために電圧、電流を数10回平均化し、内蔵されたGPIBインターフェイスを用いて実験結果をパーソナルコンピュータに転送する。得られた実験結果にカーブフィットを行い、電圧、電流、周波数、位相差を求め、複素誘電率を計算する。