実験装置



・広帯域誘電分光システム
  複素誘電率は、双極子の運動が評価される物理量である。観測する物質、分子運動が異なることで、緩和が観測される周波数は大きく変わる。一般に測定装置には、測定に適した周波数領域が存在する。そのため測定装置は、観測する周波数領域によって選ばなければならない。

  分子物性研究室では、これまでに様々な周波数帯をカバーした誘電分光システムを開発している。特に1980年代から開発が始まったTDR(Time domain Reflectometry)法は30GHzまでの超高周波数領域、DCTC(Direct Current Transient Current)法は1μHzまでの超低周波数領域の測定が可能で、現在でも測定精度、測定周波数領域の改良を行っている。これら広帯域誘電分光システムを用いることで、一般的に困難とされている水などの複雑液体の速い運動から、ガラス転移温度以下の遅い運動までを、短期間に測定することができる。

  ここでは広帯域誘電分光システムを構成するTDR法、マテリアルアナライザー、LCRメータACPA法DCTC法について説明する。



・DSC(Differential Scanning Calorimetry)
  DSC(示差走査熱量測定)とは、試料及び標準試料を一定速度で温度変化させる際に加えるエネルギー差を測定する手法である。DSCの測定法には入力補償型DSC熱流束型DSCの2つの方式がある。いずれも試料の熱分析(転移熱、反応熱、転移エンタルピー、比熱など)に効果的な手法である。



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