RGMS

Research Group of Molecular complex System

研究概要

生体系の動的構造

現在の生物学は分子科学を抜きにしては考えられない。上記(1)から(3)までの研究計画で得られる知見はいずれもそのまま生物学で重要な示唆を与えるものである。生命現象の機能発現の分子機構は基本的な分子物性から理解されるべき現象なのである。これらの理解はそのまま分子素子やマイクロマシン電子システムなど,近い将来の基盤科学技術への応用や生物の自己組織化,安定性などの,生命現象に本質的な問題に直接つながっていくことは明らかである。

生命現象を考えるとき,生体関連分子が基本的には水中でネイティブな構造をとっていることを忘れてはならない。結合水をはぎ取るだけで生体関連分子の構造は変化し,正常な生命現象の発現が不可能になってしまう。正常な生体組織は生体関連分子からその複合体,細胞,生体組織に至る各階層構造における水分子との相互作用によって構造が決定される。従って生体系の機能発現のメカニズムを知るためには,生体分子レベルの立体構造の構築,それらの複合体の分子認識,細胞膜上の秩序形成,生体組織中の含水量調節機能など,階層的な発現メカニズムを生体水との関連から順次解明していくことが極めて重要である。