RGMS

Research Group of Molecular complex System

研究概要

分子複雑系のダイナミクス測定のための広帯域誘電分光システムの開発

RGMSでは、これまでさまざまな周波数帯の誘電分光システムを開発してきた。特に1980年代前半に開発した時間領域反射(TDR)システムは10GHzまでの高周波,DCトランジェント・カレント(DCTC)システムによる1 mHzまでの低周波領域測定はどちらも,国際的に最も高い周波数と最も低い周波数での誘電緩和測定の記録を示していた。これらにより,TDRシステムによる水などの液体構造の研究やDCTCによるガラス転移の研究が進展してきた。現在では電子技術の発展に伴って,高周波数から低周波数までその中間領域も含めた極めて広い周波数帯で,精密に誘電緩和測定を行う研究グループが国際的にいくつか出現しつつあり,研究上の厳しい競争が始まりつつある。

このような状況では,従来の誘電分光システムをリファインし,常に国際的にトップの水準で研究活動を継続し得る様に,常に高機能・高性能な新しい広帯域誘電分光システムをセットアップしていることが重要である。従って前述のTDR,DCTCについては,新しい電子素子を導入して測定周波数領域,測定精度を向上させ,さらに測定,解析用ソフトウェアの開発による操作性の向上も極めて重要である。また,LCRメータ,位相差測定システム,マテリアル・アナライザ,ネットワークアナライザー,ミリ波分光システム,フェムト秒レーザーを用いたOTDR(Optical TDR)などの計測システムをTDR,DCTCと組み合わせ,適切なセルと温度制御ジャケットなどのハードウェアと制御,測定,解析用ソフトウェアをデザインする。セルは固体表面や薄膜への対応を考慮し,温度ジャケットは精密温度調節可能なものを作製し,種々の物理計測に対応する。これらのリファインは本研究プロジェクトによる分子複雑系のダイナミクス測定・解析のために必要不可欠な開発である。