故 真下 悟 先生のご略歴

故真下悟先生は1946(昭和21)年,群馬県に生まれ,1965(昭和40)年早稲田大学理工学部応用物理学科入学まで群馬県高崎市で過ごした。
1968(昭和43)年に早稲田大学理工学部応用物理学科岡本研究室配属となり,卒業研究で twin-T ブリッジによる高周波誘電測定システム(1M-150MHz)を株式会社フジソクで製作し,溶液状態での高分子の誘電緩和測定を可能にした。このブリッジは後に市販され,希少な高周波数域精密誘電測定器として多くの研究室で用いられた。
以後この測定システムを用い,修士,博士課程を修め,1974(昭和49年)3月早稲田大学より理学博士の学位を授与された。博士論文の題目は"高分子溶液の誘電的性質"であった。
1974年4月より東海大学理学部物理学科に講師として赴任し,Kramers 理論を適用した高分子の chain dynamics,ガラス転移点近傍の緩和現象などの誘電的研究を精力的に行った。
1978(昭和53)年7月より翌秋まで,米国ブラウン大学に滞在し,R. H. Cole 教授と10GHzまでの誘電緩和測定を可能にする Time Domain Reflectometry 法を開発・改良し,ダートマス大学のW. H. Stockmayer教授との高分子稀薄溶液の誘電的研究を行った。この方法で,稀薄溶液中の高分子の局所的なダイナミックスや生体分子に結合した水分子の挙動を観測することが可能になった。
帰国後も,さらにTDR法やdcトランジェント法などの誘電緩和測定システムの開発を続け,常に他に先駆けた新しい観測データと巧妙な定量的解析を学会に供給し続けた。 誘電緩和測定の周波数域は1μHzから30GHzまでの広い範囲におよび,高分子のchain dynamics,生体高分子の動的挙動,生体水,ガラス転移などの問題について,誘電分光による動的構造解析からの解明に力を注いだ。
1981(昭和56)年東海大学理学部物理学科助教授,1984(昭和59)年同教授に昇格し,1974(昭和49)年より1996(平成8)年までの間,卒研生68名,修士取得者17名,博士取得者4名を指導した。1993(平成5)年4月から1996(平成8)年3月までは東海大学理学部物理学科主任教授を勤めた。
1983年の定期健康診断ではじめて肝機能異常が見出されて以降, 繰り返し検査と治療のために受診されながらも,精力的に研究・教育を 推し進めて来られた。1996年2月末に数回目の入院をされ,そのまま 治療を続けられたが3月29日午前8時38分,周囲の多くの方々に惜し まれながら永眠された。享年49歳。
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[RGMS] [Department of Physics]
(C)Research Group of Molecular complex System


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[Department of Physics] [Tokai Univ. Computer Center]

Mikio Oyama
E-mail: 3aspm005@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp

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